さて、今日のお題は…
「パイピング布からの色泣き修正」
子供服のチロル風ワンピースです。
お嬢さんのたいへん気に入っているワンピース、とのことでした。
家庭で手洗いしたら、胸ぐりと袖ぐりの赤いパイピング布から
色が移ってしまったようです。
お嬢さんの悲しそうな顔が目に浮かぶようです。
ひげ店長、ガゼン燃えてきました。 ( `´)_。あーーたたたたたたぁ~~~!北斗百裂拳!!
しみ抜きで取るとかえって時間がかかる=料金も高くなる、と考え
洗う前に色移りの部分に薬剤を塗って、あとは通常のウェットクリーニング。
これでウェットクリーニング代だけで済みました。
しみ抜き代はいただいていません。
お嬢さんのうれしそうな顔、目に見えるようです。
さてさて、このあと取りに来ていただいた奥様にアドバイスです。
「水洗い可の表示で、このように染色が弱いものを使っているのは問題ですね。」
「家庭でこれを色移りさせずに洗うことはかなり難しいんです。」
「メーカーか購入先に経緯を言えば、交換か返品に応じてくれるでしょう。」
「専門的なことは私がメーカーや購入先に説明しますよ。」などなど…
アパレルメーカーや販売店を敵に回すつもりは、毛頭ありません。
むしろこのような商品を製造したり販売することで業界の信用をなくすほうが怖い。
今、テキスタイルに関わる産業は、お互いに協力しあってより良い関係を
築こうという雰囲気が流れています。
たとえばこの日本繊維製品・クリーニング協議会(通称:日繊ク協)の事故防止システム
事故品の情報が豊富に寄せられ、会員は最新の情報や自店でおきた事故に近いものを
調べることができます。(残念ながら会員以外は事故品情報のページへは入れません。)
原因(アパレルかクリーニングか消費者か)がどこにあるにせよ、違う業種が
テキスタイルの事故品という視点から情報を共有できることは画期的なことですね。
さて、そんな視点から取り扱い表示を見てみましょう。
絵表示はっと…?
ふむふむ、素材はレーヨンと綿、取り扱い表示は手洗いOKですね。
また長々と注意事項が書いてありますが、しっかりと
「摩擦(特に湿った状態での摩擦)や、汗や雨などで濡れた時は
他の衣料や下着に色が移ることがありますので、ご注意ください。」
と書いてありますね。
しかしどうなんでしょうね、この表示?
のは評価するけど、”特に湿った状態での摩擦で色移りすることがある”ってことは…
洗濯なんか、もろに湿って摩擦される状態ですよね?
自ら「色移りします」って言ってるんだから、すなおに水洗い不可 にしたらいいのに。
そもそもこの赤いパイピング布の染色が弱い。
これじゃぁ、家庭で手洗いなんて、不可能でしょう!
もちろんほかの品物といっしょに洗ったらその品物に色が移るし、
これ一点のみで洗っても見頃の白いニット地に色が移るでしょう。
どのくらい染料が流れ出すか染料の定着度をあらわしたもの、
これを専門用語で『染色堅牢度』っていいます。
1から5まであって数字が高いほど色移りしにくいんですが
これだと2か3ぐらいですね。
せめて4ぐらいはないと、家庭では怖くて水洗いなんかできないでしょう。
水洗いできると表示している衣料にこんな色移りしやすい染色の生地を
使っていること自体がそもそも問題があると思います。
最後に …
寅年だけに
『シミだけじゃなく、色泣きも寅(取ら)ないと!!』
おそまつでした。
なによりもお客様の喜ぶ顔を見るのが好きな『ひげ店長』でした。
裏地が綿の紺色、表地はポリエステルで薄い紺色のオーバーブラウスを洗濯したら、表地にこゆい
紺色の線が出来ました。クリーニング屋さんに持って洗ってもらったらこゆい紺色の線が多くなっていました。なぜでしょうか?
テミンさん、コメント遅くなりましたm(__)m
おそらくは裏地から表地への色移りでしょう。
ポリエステルと綿では染め方が違います。一般的に綿の染色の方が色落ちがしやすいので、その染料が流れ出して表地に付いたものと思います。
クリーニング店はドライで洗ったのでしょうか?ウェットでしょうか?